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残された時間で「遺す」ブログ

同時化学放射線療法②真夜中の失神事件

Augst 2021


 

放射線治療が始まり1週間ほど経過した頃。

まだ大きな副作用もなく

毎日5分の照射以外は何もすることがない

ただひたすらにヒマな入院生活を送っていた。

私はどちらかというとインドア派でネットさえあれば割と満足なタイプなのでこの入院生活もそこまで悪くないなと思い始めていた。

 

そんなある日の深夜。

ん?おなか痛い…

という感覚で目が覚める。

そんなにひどい痛みじゃなかったので、また眠りに入ろうとするもお腹を雑巾絞りされているような痛みがどんどん大きくなりベッドから起きてトイレに向かった。

 

私は個室に入院していたが、この病院は個室でも部屋の中にトイレがない。

(もちろん大部屋にもない)

部屋を出てトイレに行くが何も出ず、痛みを堪えながらまた部屋に戻ろうとしたとき急に目の前がぐるんとまわって一瞬意識が途切れた。

次に気がついた時はトイレ前の廊下で仰向けに倒れており、のりでもついてるのかというくらい身体が地面にびっちりくっついて身動きがとれない状態だった。

 

自分では起き上がれそうもないがまわりには誰もいない。

仰向けに倒れたまま、為す術もなくしばらく待っていると遠くの方に巡回中の看護師さん2人が見えた。

 

すみませ〜…ん…

大声を出したつもりがその声は驚くほど弱々しく、気づいてもらえるまで何度も呼び続けなければならなかった。

 

ようやく一人の看護師さんが気づいてこちらに来てくれた。もう一人の看護師さんは車イスを持ってきてくれた。

その車イスで病室に戻り、どんな状況だったか頭を打っていないかなど確認されるも

気づいたら倒れていたので自分でもよくわからない。

 

「ここ、たんこぶできてる?腫れてるみたい」

と看護師さんが私の後頭部を確認する。

触られても痛くなかったのでそういう頭の形では…?と思うも、あれよあれよという間に頭のCTを撮ることになった。

 

CT室では技師さんが一人待ってくれていた。

真夜中のCT室はいつもとは雰囲気が違い、あの丸いところにベッドが吸い込まれていくとそのままどこか知らない世界に連れていかれるような、そんな錯覚を覚えた(技師さんは斡旋業者の設定w)。

もちろん現実にはそんな事は起こらないのだが、このまま病気じゃない私がいる違う世界に行けるならそれもいいなとそんなことを想像して少しだけわくわくしたのも事実。

 

尚、CTの結果はまったく問題なしで部屋に戻りベッドで休んだ。

時刻は午前4時。腹痛はいつの間にか治まっていた。

 

結局、この時の転倒事件は腹痛による迷走神経反射だろうということで片づけられた。

 

私は、またアレが起きたらどうしよう…

とナーバスな数日を送ったがその後は1度も起きることはなかった。